9kWレンズ風車

9kWレンズ風車の概要

3つの輪を組み合わせたマルチロータタイプの9kWレンズ風車です。複数のレンズを組み合わせることで、風車の後ろの渦がより強くなり、後方の低圧化が進み、より流れを引き込んで発電量が増します。全体出力は、シングルタイプの個々の合計よりも、10~20%程アップします。
■独立系システム:DC48Vあるいは96Vを出力して蓄電池に電気を蓄えることが出来ます。
■系統連系システム:2017年来の野外実験で電力会社への系統連系システムが確立され、2019年6月、ClassNKの型式認証を取得しました。
1.独立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)委託事業『新エネルギーベンチャー技術革新事業』にて開発・製作を行いました。
2.平成29年3月より福岡県北九州市響灘で型式認証取得の為の野外実験を完了し、2年間の審査過程を経て、令和元年6月27日に日本海事協会(Class NK)の型式認証(TC-0023)を取得しました。

9kWレンズ風車の仕様

定格出力(定格風速) 9kW (12m/s)
ロータ直径 各ユニット 2.78m
集風レンズ外径 マルチ風車幅 8.58m(ユニット3.64m)
ディフューザ(集風レンズ) 各ユニットCiiタイプ、つば 7.5%高さ
風車システム中心高さ* 13.5m(任意)(3ユニットの重心位置)
集風レンズ上端高さ* 18.0m(任意)
風車本体重量 1290kg
風車形式 集風体付・水平軸・ダウンウィンド
ブレード 9枚(各3枚)・固定ピッチ・CFRP
発電機 コアレス多極同期発電機、アウターロータ式(定格回転数 400rpm)
ヨーシステム パッシブ
ブレーキ 短絡ブレーキ
手動停止 可能(レバー式スイッチ)
カットイン風速 3m/s
カットアウト風速 16m/s
耐風速 59.5m/s(クラスⅡ)
系統連系用 予定(平成30年3月)
独立電源用** 48V/96V
タワー 標準:鋼管モノポール(オプション:可倒式ポール)

*中心高さは3つのナセルによる3角形重心です。タワー高さなどは設置方法により変わります。
**充電制御器(オプション)を使用すれば、非常時には連系用からバッテリー蓄電用に切り替えられます

レンズ風車(基本ユニット)の特徴

高効率

つば付きディフューザの「つば」により発生するカルマン渦がディフューザ背後に低圧域を発生させ、その低圧域が風を呼び込みます。集風加速された風はブレード先端部で1.5倍ほどに増速し、風車を回します。風力エネルギーは風速の3乗に比例するため、同じロータ径の風車で約2〜3倍の発電量を得られます。共同研究の積み重ねにより、最適化された「レンズ風車」は九州大学の特許で、当社は専用実施権を得ています。

静粛性

ブレード先端で発生する翼端渦とディフューザの内壁に誘導される反対向きの渦が、下流に進むにつれ打ち消し合い、空力騒音の源である翼端渦が抑制され、騒音が大幅に軽減されています。3kW 機の騒音計測では風速5~14m/s、風車近くで音圧レベル55dB以下を記録。閑静な住宅地においても騒音は気になりません。

翼先端渦(青)が輪っか(レンズ)内部壁に反対向きの渦(赤)を誘導し、お互いに打ち消し合う。空力騒音の源が消える。

バードストライク

ディフューザ(輪っか)は鳥の目にもよく見えます。風力発電の大きな問題の1つとされる鳥 とブレードの衝突事故「バードストライク」が起きにくいことが確認されています。今まで一度も経験していません。

景観性

尖った先端を持つブレードが高速で回る従来の風車と違い、ブレードを囲むディフューザの「輪」による柔らかなイメージは、景観を損なわず、周りの風景に溶け込みやすい特徴があります。

マルチロータの効果

風車重量、導入コスト、発電コストは1/√nに比例して低下することが期待されます。マルチにレンズ風車を採用した本システ ムでは、レンズの集風効果とマルチレンズの流体干渉効果が融合し、発電量はさらに 10~20%程上 がります。

同面積、同定格のシングル風車とマルチ風車つまり、同じ発電出力を想定して(D2=n・d2)

シングルロータ マルチロータ
ローター数 1 n
ローター直径 D d
全発電量 ∝D2 ∝n・d2
全風車質量 ∝D3 ∝n・d3∝D3/√n
全風車コスト ∝D3 ∝n・d3∝D3/√n
発電コスト ∝D ∝d∝D/√n

マルチレンズ風車は当社が特許取得(H29年4月21日)
特許6128575号 米国特許H30年10月

予想発電量(3kW基本ユニットと9kWマルチ)

実際の年間発電量は設置条件(周辺地形、気象条件など)に左右されます。当社の風車発電出力曲線と、年平均風速をもとに一般的な風の現れ方(ワイブル分布あるいはレイリー分布)を想定し、系統接続時の発電量を算出したものが下の表です。風車システムの稼働率と制御器などの自己消費分を考慮し、想定される発電量を参考年間発電量として示しています。(注: 設備利用率は当社の野外試験データから。北九州市響灘での実証試験H28.4~H30.1の2年間)

年平均風速 設備利用率 3kWレンズ風車 9kWレンズ風車
3.0m/s 4.0% 1,050kWh 3,160kWh
3.0m/s 10.0% 2,670kWh 7,890kWh
5.0m/s 18.0% 4,730kWh 14,200kWh
6.0m/s 25.0% 6,570kWh 19,710kWh
7.0m/s 31.0% 8,150kWh 24,440kWh

製品資料

9kWレンズ風車の設置事例

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